適応となる疾患
進行したすい臓がんは痛みをともないます。これは腹腔神経叢(膵臓と腹腔内の痛覚を伝達する部分)を司る痛みのためです。がんが広がるにつれ、痛みは強くなり、これを癌性疼痛と呼びます。
通常の使用する鎮痛薬が効かなくなってくると、麻薬による痛みのコントロールを行いますが、麻薬による鎮痛の効き目が大きい反面、便秘や意識レベルの低下(ボーっとする状態)などの副作用をともないます。
超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック(融解術)は腹腔神経叢を胃の中から超音波装置で観察しながら直接、麻酔薬を送り込むことで癌性疼痛を緩和するとともに、麻薬の投与量を減らすことができます。
効果は人にもよりますが、50-94%程度効果があるといわれています。今までも腹腔神経叢ブロックは様々な方法で行われてきましたが、偶発症の頻度を下げ有効性を上げるための刺入経路として現在では、超音波内視鏡(EUS)を用いて行う方法が最も一般的となっています。
方法
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手術日程
基基本的には入院した上での治療となります。当日は朝から絶食で検査を受けて頂きます。処置時間は30分前後となります。
合併症
一過性疼痛増強:1-36%程度
処置後に一時的に痛みが強くなることがあります。その後は改善していきます。
一過性低血圧:3.2-33%程度
処置後に一時的に血圧が低くなることがあります。
膿瘍形成:0.5-1.1%
注射した部分が感染し、膿瘍(膿の溜まり)を形成することが稀ですがあります。
治療に使用する薬剤によるアレルギー(気分不良・嘔気・ショック)
比較的安全な手術ではありますが、上記のような合併症が起こる場合もあります。神経節を融解させる手技ですので術後1週間程度では疼痛が増強する場合もあります。
※疼痛緩和の度合いには個人差があります。