どれだけ内視鏡検査が上手な医師が行っても、ある一定の不快感を伴います。検査で一度辛かった経験により、定期的に受ける必要のある内視鏡検査を受けずに、がんなどが進行してしまうこともあります。
麻酔を使用するメリット(長所)
苦痛なく、楽に検査が受けることができます。
眠ったような意識で検査を受けることが出来るため、胃カメラの吐きそうな感覚や大腸カメラの腹部の痛みのような苦痛は、ほぼ感じることなく検査を受けることができます。また、患者さんの苦痛が緩和されているため、内視鏡医もあわてる必要なく、時間をかけてより小さな病変も見逃さないように丁寧な検査を進めることが可能です。
麻酔を使用するデメリット(短所)
すぐに帰宅することが出来ない。
内視鏡検査後、鎮静剤(麻酔)が覚めるまでの間、1-2時間は休息する必要があるため、すぐに帰宅することはできません。また、当日は車や自転車などの機械を動かすことは危険が伴うため、使用することは控えて下さい。
使用する薬剤
これらの薬剤は内視鏡時の鎮静・鎮痛に一般的に安全に使用されている薬剤です。患者さんの状態に合わせて、使用していきます。
1. 鎮静薬:眠ったような状態になる薬剤です。
・ミダゾラム(商品名:ドルミカム) 、ジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾン)
抗不安・鎮静・睡眠作用を併せ持つ薬剤です。
・プロポフォール (商品名:ディプリバン)
欧米では覚醒の早い薬剤として、広く使用されている薬剤ですが、わが国では全身麻酔薬であり、まだまだ一般的ではありません。適切な麻酔深度を保つには難しい薬剤ですが、『苦痛のない内視鏡』『内視鏡終了後すぐに目覚め、日常生活に復帰できる』という大きな利点です。また、麻酔の切れが早いだけでなく、麻酔に伴う呼吸抑制の回復も速やかなことから、効果的でより安全な静脈麻酔薬と評価されている薬剤です。
体への影響
基本的には上記の薬剤は、通常3時間程度で代謝され、体内から排出されます。副作用としては、いずれも可能性は非常に低いのですが、呼吸抑制、血圧低下、膵炎、徐脈、アレルギー反応などがありますが。万が一、副作用が起こった場合も、専門医が適切な処置を行いますので安心してください。妊婦の方には母子共に影響の少ない薬剤を使用いたします。